2003.11.21
KGIC, King George International College 2003
『新しいKGICは専門プログラムもインターンシップも豊富。』
以前の取材時に比べ、専門プログラムがますます増えたKGIC。2つのダウンタウンキャンパスと、サレー校、そしてトロント校で提供されているプログラムをご紹介します。
→2002年の取材ページはこちら
★KGICのサレーキャンパスの子供クラスを、TTCEプログラムで訪れることができます。
(Nocole先生:教師歴8年のベテラン。韓国では子供にも教えていました。)
−先生の担当するTTCEのクラスについて教えてください。
「日本と韓国では小学校からの英語のカリキュラムが公式にスタートして、多くの先生が英語を学びに来ているから、私のクラスの12人の生徒達はアジアの生徒たちが中心です。クラスのスタイルは、60−70%はレクチャーのかたちをとっています。それから授業計画などのプレゼンテーションもありますよ。教科書はありますが、講義スタイルといっても、教科書をただ読みながら授業を行うわけではなく、教科書を基にして、私が生徒達に教えていく、相互にコミュニケーションを取りながら行うスタイルなんですよ。」
−このコースでは多くの専門用語を使いますか。
「専門用語が出てきたら、カナダ人だって最初は戸惑うでしょうね。でも、コースを最後までやり通すことによって、皆理解していくから、大丈夫!同じ事を何回もやればやるほど、覚えていくものですものね。」
−実習について教えてください。
「3つのオプションがあります。ひとつはKGICサレー校の、子供クラス。ここでは英語を母国語としない子供達が英語を学んでいます。夏はとってもにぎわっていますよ。もうひとつはデイケア。保育の段階のカナダの子供達がどのように遊んでいるかを観察できます。そして3つめは小学校です。カナダの小学校で先生がどのように指導しているかを見る機会があります。
4週間のプログラムの最初の週に、まず見学をします。そこではその施設のルールや、すべきことを学びます。また、実習ではクラスの生徒達全員の前に立って教えられるわけではないけれど、少人数に分かれて子供に教える機会があります。実習をする生徒の社交性、経験の有無などによって得るものは違うと思いますが、とても良い機会が与えられると思います。」
★通訳・翻訳者向け技能試験の模擬テストも含まれたプログラム。
(Yukariさん:日本語対応スタッフ)
−KGICは、専門的なプログラムが多いですよね。
「その代表が、今回新しくご紹介する通訳・翻訳ディプロマプログラムです。この講座は今バンクーバーで英語を学ぶ皆さんが、日本に帰国して仕事の幅を広げる為の『スキル』を提供します。どんなお仕事でも、通訳、翻訳の基礎を知っておけば、『社内通訳』という形でも留学で得た英語力を発揮する機会があるのではないでしょうか。」
−ご自身も、実際にレッスンに参加されたそうですが。
「面白かったですね。普段英語で使っているから解からないはずのない日本語が、出てこないんです。訳というのは表現力が大事で、答えが合っている・間違っているというんじゃなく、もっとこういう言い方もある、こういう言い回しもある、このコースではそういったニュアンスが学べるんです。それから、英語は主語が必ずあるけど、日本語は主語が無い。その辺も勉強するし、使ってはいけないカタカナ英語がたくさん有ることにも気が付きます。キチンとした日本語を勉強する機会でもあるんですね。」
−KGICの専門コースには全てインターンシップが含まれるのですね。
「インターンシップを希望する生徒さんが増えていますが、KGICであれば、ほとんどのコースが実習を含みます。外資系オフィススタッフを目指すなら『IOPDP』、ビジネスマネジメントを学ぶ『BIDP』、ビジネス英語を学ぶ『BEDP』、ホテルで働くなら『HMDP』、英語を教えるなら『TTCE』。どのプログラムも、インターンシップが含まれるうえ、終了するとディプロマが発行されます。」
−英語のレベルが足りない場合、ESLから始めることになるのですね。
「専門コースを目指してESLで英語力をつけている生徒さんはたくさんいます。逆に、専門コースで困らないように、ESLのカリキュラムは厳しいものになっています。KGICの一般ESLのカリキュラムは全て整理され、2004年度から新しいカリキュラムになります。特徴として、クラス分けは文法や会話といった4つのスキル別に判定されます。スキルごとに、自分のレベルの教室に移動するわけです。総合的に1人の先生が1クラスを受け持つのではなく、異なる先生がレベルに分かれたクラスを受け持つので、カナダ人の先生達の、異なる音程やアクセントに耳を慣らすことができ、リスニングに効果的です。レベルでカバーされる内容と進度は先生まかせでなく、学校側で決められていますし、毎月1度レベルで統一されたテストがありますので、客観的にクラスを評価することができるのです。」
★浅く広く語彙と使い方を学び、状況にふさわしい訳ができるようにする。
(Kaori先生/通訳・翻訳ディプロマプログラムの講師。)
−先生の経歴を教えてください。
「UBCを卒業し、修士を取得しました。UBCの学生時代からチューターとして教え、翻訳や通訳はプロジェクトごとに、人に頼まれるかたちで昔からやっていました。UBCでもカナダ人学生の為の日本語の授業で訳すことを教えていましたので、教えることは得意です。」
−通訳・翻訳プログラムの特徴を教えてください。
「カリキュラムは、KGICのプログラムコーディネーターや先生達、そして私がディスカッションを重ねて、最終的に決められたものです。『訳す』という最終目的があるわけですが、生徒さんにはそのために、浅く広く、医療・芸術などの分野に分かれたたくさんの語彙とその使い方を勉強してもらいます。訳そのものというよりも、日本語と英語の文化の違いから考えられた訳の問題が出されます。なぜなら、文化の違いが分かっていないと、それに相応しい訳が出てこないのです。
カリキュラムは、まず英語の語彙を増やすために、リストの中から毎日20 問の語彙とそれを使った例文を声に出して実際に発音してみます。毎日の単語テストや練習問題を通して8週間で800以上の単語を覚えます。訳には発音の練習はない、と思っている方もいるかもしれませんが、他人が聴いて理解できる英語を話していただくために、発音もしっかりやりますよ。その他、英語に特徴的な、接頭辞とか接尾辞と言われる、意味を持ったことばがあります。そういった言葉の組み立てを理解すると、一気に語彙が増えますから、そういったものや、熟語も学びます。言い回しや時事問題に良く出てくる単語も入ってきます。
また、翻訳・通訳のためのテクニックも学びます。例えばリスニングをどうやって完璧にしていったらいいか、また発音をどうやってネイティブに近いものにしていくか。リスニング、発音練習、スピーキングの練習、翻訳の練習、視聴覚映像を使った練習、シュミレーショントレーニングなどいろいろな練習法がありますので、このプログラムが終了した後も、そのテクニックを使って練習することができます。カナダで行われている、日本語と英語の通訳・翻訳者向け技能試験の模擬テストも4週間に一度ありますよ。」
−今日の授業を、具体的に教えてください。
「今週は芸術・エンターテイメントの分野を学んでいますので、それらの語彙を20個学び、使われる例文と発音、熟語を学びました。午前の最後には、サラ・マクラクランの歌を聴いて、日本で洋楽のCDについてくる翻訳された歌詞カードのように、詩的に、雰囲気や内容を伝える『訳』というものを学びました。
午後は、英語から日本語の訳。お話から取られたある場面の英語の文章と、それに続く美術についての文章を訳しました。翻訳で犯しやすい間違いに気をつけるために、よく出てくる英語で、日本語の辞書には1つか2つしか対応する訳語がないけれども、実際に使われている文章を見るとその言葉は実はいろいろな日本語に訳せる、ということを学びました。」
―日-英と、英-日の練習は、どの程度の割合でするのですか。
「今のところ、英語から日本語に訳す練習に重点を置いています。もちろん日本語の英訳もやっていますが、英語の日本語訳の方が日本人にはやり始め易いのです。」
★訳すものの背景にある、文化や状況を考えて訳すことを学んでいる。
(Kintaさん:生徒/トロントで英語を勉強。バンクーバーへ移動したのは、やはり英語プログラムの幅の広さが断然多いから。通訳・翻訳プログラムは始まったばかり。)
―現在授業でやっていることを教えてください。
「週ごとにトピックがあります。先週は医療、2週間目の今週は芸術、エンターテイメントです。そのテーマにそって、英文を見て翻訳したりとか、耳で聴いたものを自然な感じに訳す技術を教わっています。あとは、語彙がないと訳すことができないので、語彙もたくさん勉強しています。」
―この通訳・翻訳という分野に職業として興味がありましたか?
「正直言って、プロになろうとか、そういうことはなかったです。ただこれから勉強していって、そう思うかもしれない。クラスには、そういう人も何人かいます。」
―クラスメイトについて教えてください。
「全部で12人います。女性が3分の2。授業は基本的に英語で進行しますので、全員日本人だけれど、英語で話してます。日本語に訳す部分だけは日本語ですが、『これでいいの?』と先生に聞くのも英語ですね。」
―では、先生について教えてください。
「先生は日本人の方で、知識がすごい、すごく良い先生だと思う。翻訳・通訳の仕事は知識がすごく要るらしいんだけど、先生は日本人として英語を良く勉強された方だから、英語を良く知っているし、日本語も良く知ってて、日本語も教えてもらえる。実は、日本語は簡単だろうと思ったけど、ここで勉強し始めてから、日本語の知識をまず勉強しなくては、と感じました。日本語には語彙がたくさんあって、どう言ったら一番自然に聞こえるのやろ、と。この言葉でも意味は成すけど、なんか違うな〜、と。先生は訳に適したいろんな言葉が一瞬で浮かぶけど、僕らは、日常会話では絶対に使わないような文になってしまう。訳すものの背景にあるもの、状況を知らないといけないんですよ、カップルの会話なのか、先生と生徒なのか、とか、そういったものまで考えて訳さないといけない。今まで英語勉強してきたけど、そういうのは習ったことなかったから、新鮮です。」
―宿題の量はどうですか。
「結構あります。ちょっと減らしてくれはったけど。僕の場合は2時間から3時間かかる。あんまり遊ぶ時間はないかな。」
―これからの計画を教えてください。
「田舎に行って、勉強したい。そしてTESLを取ろうと思ってます。」
★学校と授業の風景
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入り口から入って受付を見た様子。廊下の壁にはEnglish
Onlyのポリシーが。
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授業風景1.廊下からガラスを通して見える授業の様子。
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休憩時間も、皆さん和気藹々。
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生徒さんが置いていってくれた写真をご紹介します。みんな仲良さそう。
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ちゃんとしたおへやになっているインターネットカフェ。
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IPODPで使われる教科書。
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★上級英語を使いこなして、ビジネスの分野に生かす。
(Hermie先生。BIIDPプログラムのインストラクター。MBAとコンピューターサイエンスの学士号を持つ。IT業界で働き、フィリピンの大学では助教授として教えていました。)
−IDPプログラムの特徴を教えてください。
「このプログラムは7つのモジュールから成ります。ファイナンス、マーケティングなど、各モジュールは3週間ですので、合計21週間。各モジュールの中ではプロジェクトがあるから、リサーチをしたり、プレゼンテーションスキルを伸ばすことが出来ます。その後、カナダの社会で実習をする機会があります。」
−現在のクラスについて、教えてください。
「10人のクラスです。課題もたくさん出してますよ、将来のマネージャーになってもらうためにね。生徒達は、とても自信を持って英語でコミュニケーションしています。このプログラムは『英語』を教えるものでなく『ビジネス』を教えるものだから、少なくとも中級から上級レベルの英語力は必要です。申し込み時には僕が直接生徒と面談して、もし英語力が充分でなければ入学を許可できません。1日にテキストを20ページ読んでくる宿題も出すよ。翌日はシートワークと呼ばれるプリントを基にディスカッションを行います。テーマが変わっても、この方法は良く行われます。」
−フィールドトリップ(校外視察)などもあるのですか。
「もちろん!ファイナンスの授業ではストックブローカーのところに行ったし、今月はマーケティングの授業だけど、皆でマーケティングフェア−に行って丸1日セミナーに参加しました。グローバリゼーションのクラスでは、自国の食べ物を持ちよってバーティーをしました。真剣な中にも、いろいろ幅を持たせたいからです。」
−今日の授業は、どんなことをしましたか。
「先週末に、マーケティングに関するニュースを新聞・雑誌・インターネットから探す課題を出していたから、今朝は各自持ってきたニュースをクラスで発表して、全員が最新の話題を吸収しました。そのあと、3つのグループに分かれて、他のグループと自分のグループのケーススタディを読みました。スターバックス、GAP、バンキングテクノロジーの3つです。明日のプレゼンテーションのために、それらの分析をして説明できるようにし、明日予想される質問に備えることまでしました。明日は、KGICのディレクターが彼らのプレゼンテーションを見学します。水曜日は試験。木曜は個人プロジェクトの提出日で、課題は『新商品のマーケティングプラン』です。生徒の一人は自転車でコーヒーを売るモバイル・コーヒーというアイデアを練っています。」
−(笑)それは面白そうですね。では、インターンシップについて、教えて下さい。
「僕が生徒の希望を聞き、生徒は履歴書を送って、面接を受けなくてはなりません。会社側と生徒のお見合いのようなものです。一人の生徒は人事に興味があったので、移民関連の非営利団体で、人事の仕事を見ることが出来ました。彼は特に人事の経験があったわけではなかったけれど、大切なのは過去ではなくこれからだからね。帰国してからの就職に生かしてもらいたいです。」
<取材後記>
今留学してこちらにいる方も、英語が解かる・話せるようになるために、日本語を離れて24時間英語環境を作ろうと努力しながら勉強されている方が多いと思います。でも一旦帰国したら、日本で英語を仕事で使っていかなくてはいけない。日本人の私達にとって、英語で考え、意見を言う、それより高度で本当に使えるのは、状況に適した日本語と英語を同時に使うことなんだと感じました。2ヶ国語間で頭を切り替えるって、なかなか難しそうです。それを「面白く」学べるプログラムはうれしいものです。トピックも、法律、旅行、社会などいろいろなジャンルで学びますので、英語を使う職場だったらそのうちのどれかは必ず使うはず。それを使いこなすことで、仕事の幅が広がりそうです。
さすが大規模のKGICは、その他にもESLと専門プログラムの選択が豊富ですし、トロントキャンパスもオープンしているので2都市間で選ぶこともできます。バンクーバーでは、ESL(ダウンタウン、サレー)、ビジネス専門プログラム(ダウンタウン)、ビジネス英語プログラム(サレー)、キッズプログラム(サレー)の各プログラムが配置されています。ESLのカリキュラムも再編され、真剣に英語力を上げたい、基礎力をつけたい生徒さんにも向いています。大勢のクラスメイトに囲まれて留学生活が送れることは確実です。
レポート Jpcanada.com取材班(kiri)
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