2002.10.18
International Travel and Business College,
ITBC
『フライトアテンダントコースも用意されている、旅行・観光業の専門学校』
旅好きの人なら一度は考えるツアーガイドや旅行会社社員の道。そして憧れのフライトアテンダント。これらの夢に大きく近づく為のプログラムを提供しているInternational
Travel and Business College(以下ITBC)。旅行・観光業だけに焦点をおき、生徒さん方の幅広い就職の道を開いている実態を取材してきました。
★国際的にもカナダでも有効な資格取得とともに、旅行・観光業のスペシャリストを養成します。
(Brianさん:Director/IATAのクラスのインストラクターでもあります。)
-学校の概要とプログラムの種類について教えて下さい。
「私達は、19歳以上で高校卒業資格を持つ方全てに門戸を開いている、旅行業界専門の学校です。コースは大きく分けて、フライトアテンダントコース、トラベル・ツーリズムコースがあります。フライトアテンダントコースは10週間、トラベル・ツーリズムコースは、当校ITBCのディプロマのみを取得する場合は29週間、それプラスIATA、ACCESSのディプロマを取得するためには34週間の構成です。また、インターナショナルの学生さんで、これらのコースで最初から学ぶことが英語の面において不安な方のために、クラスで使う専門用語や基礎知識を中心に勉強していただく3週間の英語コースもあります。」
−IATA、ACCESSとは何ですか?
「IATAとは、International Air Transport Associationの略です。皆さんも、飛行機のチケットに、このIATAのマークが記載されているのを見たことがあると思います。どの旅行社も、このIATAから認証されていなければ発券できなく、カナダ国内はもちろん世界的にもこのIATAのディプロマは重要視されています。このIATAのディプロマを取得できるコースはノースアメリカでも数校しかなく、当校はその数少ない中のひとつです。そして、ACCESSとはカナダ国内の旅行業界で最も有効なものです。ですから、この2つのディプロマ取得は、インターナショナルでもカナダ国内でも通用する、という大変優位なことです。」
−トラベル・ツーリズムコースのカリキュラムについて教えて下さい。
「まず、ITBCのディプロマを取得するためには、5つの分野を勉強し、その試験にパスしなければなりません。これらのクラスの中でカバーされる内容は、航空券の発券の仕方、旅行会社はもちろん、レンタカー、クルーズ、ホテル、旅行保険など旅行業界全般、世界各国の首都や観光名所を含めた地理、効果的なセールスマーケティング戦略、そして2大コンピューター発券システムSABREとApolloの操作方法などについて学びます。このディプロマは、航空会社にしろ、旅行会社にしろ、旅行業界において雇用されるための、いわば必要最低限の資格、とでもいえるでしょうか。」
−IATAとACCESSのコースはどのようになっていますか?
「IATAとACCESSのディプロマを取得するには、先程説明しました、基本となるコースに加えてさらに5週間費やします。この5週間の内容は、私達の基本カリキュラムと似ていますが、より試験に対応したものになっています。特に、IATAは基礎のカリキュラムに比べて地理にもっと力を入れています。また、IATAの試験が9月と3月1年に2回しかありませんので、この5週間前にしっかり勉強できるようにカリキュラムを組んでいます。こちらは世界的に認められているものですから、ITBCのディプロマよりも難しくなっていますね。そしておもしろいことに、このトラベル・ツーリズムコースは、フライトアテンダントになるためにも役立つんです。世界地理や、旅行業界全般についての知識というものは、フライトアテンダントには欠かせないものですから、これらを身につけているということは大きなメリットになるからです。」
−フライトアテンダントのコースについて教えて下さい。
「フライトアテンダントディプロマプログラムでは、大きく分けて4つの分野について学びます。サービスのクラスでは、エコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスのサービスの違い、免税品について、為替についてなどを学びます。ビジネス、ファーストクラスの場合には、専用の特別なビール・ワインなどの知識、映画の知識、といったことも必要ですので、その辺を詳しく勉強します。その他には、救急患者が出た場合の対応方法、緊急の際の避難方法、トラブル・セキュリティー、都市と空港コード、世界地理、基礎発券知識、メジャーな路線のフライト時間などをカバーします。また、フィールドトリップで空港に行ったり、航空会社の人をゲストスピーカーに迎えたりもします。」
−その他にもサティフィケイトコースがあると伺いましたが。
「はい。アドベンチャーツーリズム、インターナショナルツアーガイドサティフィケイトプログラムがあります。これらのプログラムを単独で受講するには、旅行・観光業界の知識経験がなければなりませんが、フライトアテンダントコース、トラベル・ツーリズムコースに加える形でこれらのコースを提供しています。今や旅行会社も、ただ単にツアーやパッケージを組んでお客様に提供する時代ではないので、特別の分野に精通した人材を求める傾向にあります。特に去年の9月11日のテロ事件後、個人で行く旅行より、団体でのツアーが人気を集めています。大勢の方が何かと安全、という感覚があるからでしょう。その点から、アドベンチャーツーリズム、インターナショナルツアーガイドは、例えばラフティングツアー、バンジージャンプツアーなどのアドベンチャーツアーの分野、海外旅行の分野に精通するための勉強をするものですので、一般的にいう添乗員的な要素を超えて、それらのツアーを企画、手配、安全に遂行でき、あくまでもお客様に同行する、ということにまで焦点を置いています。」
★授業は厳しいけどその分やりがいもあって、就職の幅も広がるところが魅力的です。
写真右
(Keikoさん:生徒/インターナショナルトラベル・ツーリズムディプロマプログラム受講中)
写真左
(Tamaeさん:生徒/インターナショナルトラベル・ツーリズムディプロマプログラム受講中)
-ITBCに通うことにした経緯を、カナダを選んだ理由も含めて教えて下さい。
Keiko: 「私はずっと留学がしたくて、ニュージーランドと迷っていたんですけど、バンクーバーっていう響きが良かったし、やはりずっと抱いていた良いイメージもあって、来ることに決めたんです。実際、バンクーバーは住みやすい都市、ということでも1,2位に入るし。それで去年の12月にこちらに来て英語を勉強してたんですが、ESLが終わった後は、旅行関係で勉強しようと最初から決めてきたので、専門の学校を探していました。ITBCに決めたのは、同じようにIATAがとれる学校が他にもあったけど、こちらの方が雰囲気や対応が良かったからですね。」
Tamae: 「私は去年の5月にカナダに来たんですけど、やっぱり治安が良くて物価が安いというところが大きかったと思います。最初はただ英語を勉強したかっただけだったんですけど、その後英語の他にも何か身につくものを勉強したいと思って、それなら旅行関係にしよう、と。ITBCは先生もみんなフレンドリーだし、学校紹介をしてくれたエージェントの人も、ITBCの電話対応は良かったよーっていってたし。そういうことも大事だなーと思って決めました。」
−クラスの様子を教えて下さい。
Keiko: 「クラスにはアジア系の学生と中近東の学生が多くいます。ネイティブスピーカーも数人いますよ。宿題はすごく大変というわけではなく、クラスでやったことの復習という感じなんですが、宿題も成績の点数に関わってくるので気は抜けないですね。私は世界地理が一番おもしろかったです。その国の首都、川やロケーションを覚えることはもちろんですけど、観光名所とかその国についていっぱい知ることができたので、暗記は苦手だけど授業は一番楽しかったです。」
Tamae: 「授業はやりがいがあります。私にとっては世界地理も問題数が多くて苦手だったんですが、一番大変だったのは、ツアーやパック旅行のブローシャー(パンフレット)をつくるものですね。自分達でテーマ、そのツアーの見所、料金、日程というものを全て決めて作るんです。一番楽しかったのは、チケッティングのクラスですね。航空券に、フライトの時間、エアポートのコード、そしてチケットのタイプや料金といったものを全て書き込む、という発券作業を練習するもので、実践をやってるなーという気になりました。これは、コンピューターがダウンした時のために手書きで発券できるように訓練する、ということも含めての練習なんです。」
−実習はどのような感じなのですか?
Keiko: 「プラクティカムは空港のチケットカウンターの横で、お客さんの列や荷物の整理、お客さんの質問に答える、などのお手伝いをする予定ですごく楽しみです。」
Tamae: 「他の学校に行っている子に聞いたんですけど、その子達は留学生だから、ということで空港の実習はとれなかったらしいです。ネイティブスピーカーの人しかできないみたいで。その点ITBCは、留学生にもチャンスが公平に与えられているので嬉しいです。地元の旅行会社での電話受け付け程度の実習はよくあるそうですけど、空港での実習はあまり聞かないのですごくいい経験になると思います。」
−今後の予定を教えて下さい。
Keiko: 「学校が終わったら、とりあえず日本に帰ります。日本で旅行業界目指して就職活動をするか、ワーホリビザをとって、英語圏の旅行関係の会社で働くか、というところでまだ迷っています。ここのプログラムを卒業すれば就職の道がかなり開けていて、ツアーガイドにもなれるし、やろうと思えばフライトアテンダントにも挑戦できるんですよ。このプログラムをとって、日本でフライトアテンダントになってる人もいるんです。私も、せっかくだから旅行・観光業界でプログラムの経験を生かしたことをしたいです。」
Tamae: 「私もまだはっきり決めてませんけど、とりあえず日本には帰ると思います。旅行関係で仕事につけたらいいです。」
★学校と授業の風景
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フライトアテンダントプログラムの教室内。見覚えのあるライフジャケット。
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インターナショナルトラベル・ツーリズムのクラス。
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教室内には教材の旅行パンフレットがいっぱい。
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IATAに承認されている学校、という証明。
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ホール。
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コンピュータールーム。
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キッチン。
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受付。
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受け付けに置いてある飛行機の模型。
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★フライトアテンダントとは何か、という心構えから教えます。
(Guyさん:フライトアテンダントプログラムインストラクター/ご自身も、フランス語・英語バイリンガルのフライトアテンダントでした。)
−フライトアテンダントディプロマプログラムで学ぶことで、何が一番生徒さんにとってメリットになると思いますか。
「まず最初に生徒さんに言っておくことは、このプログラムはフライトアテンダントとしての職を保障するものではない、ということです。しかし、フライトアテンダントになるための必要不可欠な知識、心構え、基礎的な訓練が身につけられますよ、というわけです。これらは、実際に航空会社に出す履歴書や面接にも優位に働きます。というのも、フライトアテンダントになろうとしている人でも、フライトアテンダントとは何か、ということを知らない人が多いのです。フライトアテンダントは、多かれ少なかれ飛行機に乗るお客さんと大した変わりがない、ただ笑って、Hi
やByeといったり、ちょっと食事などのサービスをするだけ、と思っている人が多いのです。しかし、もちろんそんなに単純なものでは決してありません。そこのところを深く理解して、航空会社に自分を売り込むことができる、採用側もそこを見抜いてくれる可能性が高い、ということがこのプログラムを受講する生徒さんの一番のメリットになると思います。」
−それでは具体的なプログラムの内容を教えて下さい。
「緊急事態の対処の仕方、救急、それぞれの状況に応じた機内装置の扱い方、空港のコード、その土地の地理などを学びます。でも、まず最初に生徒達にいっておくのは、フライトアテンダントとして何が一番必要なのか=安全面の確保とその理解です。航空券には細かいサービスの説明ということは書かれてませんけど、チケットを買った際に保障されていることは、A地点からB地点までの"安全なフライト"、なんです。ですから、フライトアテンダントとして、安全性ということに一番真剣に取り組まなければならないんです。安全装置の理解、デモンストレーション、機内放送、は何よりも必須です。」
−このプログラムはフライトアテンダントとして採用された際のトレーニングと似ている、と聞きましたが。
「そうです。僕は27年間、エアカナダでフライトアテンダントとして働いていて、その間にフライトアテンダントを採用する側にも立ちましたし、安全面のデモンストレーションのクラスで教えていたこともあります。その経験を大いにこのプログラムで役立てていますが、生徒さんは、"フライトアテンダントがここまでやらなければならないとは知らなかった"、と言うことがあります。私はいつも、これら安全装置を使わないことをいつも祈っているし、自分も27年間一度も使ったことはないけれども、これだけは避けては通れないことだ、といっています。サービスだけなら何かを落としても、すみませんで済むときもあるかもしれませんが、緊急事態に物を落としたりしたら、とんでもないことになりかねません。そういう意味でも、どれだけ安全面に気を使わなければならないか、深い理解と心構えが必要か、ということも含めて、フライトアテンダントの実際の訓練と違いがないようにカリキュラムを整えています。」
−その他にフライトアテンダントになるために、知っておかなければならないことはなんでしょう。
「機内のサービスや安全面などに加えて、フライトアテンダントの生活についても理解を深めなければなりません。例えば、働く時間が月曜から金曜の9時から5時ではない、ということ。つまり、週末にパーティの誘いがあってもその時は、空の上だわ、ということになります。航空業界のこのような体制に寛容ではない人とは自然に距離が離れていく、ということもあるのです。そういう意味で、付き合う友達も変わる可能性があります。また、人生観が変わることもあるでしょう。というのも、色々な場所を訪れて、良いホテル、レストラン、景色、に触れる機会が非常に多いわけです。特に若いうちですと、それらから大きな刺激を受けて、自分の人生観に大きな変化が訪れたって不思議ではないわけですよね。さらに、このように友達が変わり、人生観が変わり、パリで4日間、モスクワで3日間、というようなライフスタイルを理解してくれる人しか恋人になり得ません。その理解の難しさのせいで、フライトアテンダントとパイロットが結婚する率が高いんですよ(笑)。これは何も国際線だけに限ったことではなく、国内線でも、最初はどこの都市に行くかすらもわからない、ずっとフライトまで待機してなければならない、という柔軟性のないスケジュールに身を任せなければなりません。そういった人生に関して起こりうる変化についても理解をしてもらいます。」
−実際にフライトアテンダントになるための面接や書類審査にはどのようなサポートがあるのですか?
「最初の1週間は、どのように面接を受けたらよいか、ということも勉強します。大事なところでは、かっちりとした服装でスマイル。スマイルがなければ面接官とアイコンタクトもできません。そのプレゼンテーションの仕方も勉強します。そして面接官が次にみるところは手です。積極的な姿勢、スマイル、そして手。雑誌を配ったり、食事、ドリンクサービスの時、ヘッドホン、免税品の販売、などなど、お客さんが座っている位置から、一番先に目につくのがフライトアテンダントの手です。また、声も、大きくなければなりませんね。静かなオフィスで静かに働くわけではないんです。飛行機にはいつもエンジンの騒音があって、お客さんがお喋りをしていて、赤ちゃんが泣いていて、という状態です。その中でサービスをするのですから、みなさんにはっきりと聞こえる大きさでなければなりません。それから、どれだけ健康であることが大事か、ということも教えます。風邪をひくことは絶対に許されないことです。風邪をひいたまま飛行機に頻繁に乗っていれば、耳をおかしくしてしまいフライトアテンダント生命を終えてしまうことだってあります。菌を同僚に移したくもないですし、もちろんお客さんにもです。しかし、お客さんで風邪をひいてらっしゃる人も大勢います。そこから風邪をもらわないだけの体力も必要なんですね。ですから健康管理がとても大切になってくるのです。このように、フライトアテンダントとしての心構え、サービス、安全面の知識、一通りの作業の流れを書類審査、面接の時に知っているということ自体が大きなメリットになっているのです。」
★インターナショナルの私達に理解ある先生の楽しい授業に惹かれっぱなしです!
(Mayukoさん:生徒/フライトアテンダントディプロマプログラム受講中。)
−カナダに来たきっかけやITBCのフライトアテンダントプログラムをとろうと思った背景を教えて下さい。
「最初は英語を勉強したくてナナイモの方に来たんです。日本人が少ない方が良くて、アメリカのジョージアも考えていたのですが、南部訛りがあるのと、カナダの方が安全だということもあったので。ナナイモは日本の大学で教わっていたカナダ人の教授がマラスピナ大学でも教えていたので、そこを薦められた、ということもあります。ESLには1年行きました。それから大学の授業を取ってたんですけど、やりたいことではなかったので、もっと自分のためになることをやろうと思ったんです。それで、インターネットで探していたらITBCの情報を見つけて、これだ!と思ってメールをしたんです。そしたら、すごくよく対応してくれたし、カリキュラムもしっかりとしていたのでここに決めました。」
−クラスの様子について教えて下さい。
「クラスはとにかく先生が楽しくて、しかも彼の第一言語がフランス語なので、私達留学生の英語面での大変さもわかってくれるから、押し付ける一方じゃなく、私達に理解を示しながらクラスを進めてくれるところも気に入っています。そして何より、先生が昔フライトアテンダントだったので、何が必要で、状況に応じてどういうことをしなければならないか、っていうのをわかっているんですね。なので、教科書ベースに進められる講義の合間にも、体験談に基づいた話をしてくれるのでとても興味深いです。レクチャーの他には、機内放送の練習や、機内の器具・装置の使い方、避難・緊急事態の対処等も全て練習します。フィールドトリップは、ちょうど明日なんですが、空港に行って機内食を作っているキッチンを見学します。それから、航空会社の人がゲストで来てお話もしてくれるみたいです。」
−プログラムが終わったら早速フライトアテンダントのポジションに応募するのですか?
「いえ、私はもっと深く旅行・観光業界について知っていたいので、この後も、ITBCでIATAのプログラムを受講する予定なんです。フライトアテンダントに応募するのはそれからですね。今日本の航空会社はかなり難しい、ということも聞いていますし、私自身も英語を使った環境にいたいので、こちらの航空会社で働くことを目指したいです。」
<取材後記>
今回の取材は、旅行・観光業やフライトアテンダントの裏側が少し垣間見れた様で興味深いものでした。IATAというものは、これまでは気がつきませんでしたが、そういえばどのチケットにもこのロゴを見ますよね。それほどまでに有名なものでも、資格を取れる学校というのは本当に少ないそうなので、とても価値がありそうですね。
その資格と集中的なカリキュラムのおかげでしょう、インタビューの中にもありましたが、就職の幅がかなり広いようです。旅行会社はもちろん、グランドホステス、チケット予約センター、ツアーガイドなどといった、まさに旅行・観光に関するものであればどこへでもチャレンジできる、というわけです。
そして、憧れの職業ナンバーワンのフライトアテンダント。このプログラムではもちろん、実際にフライトアテンダントになれる保障があるわけではありません。しかし、客室乗務員として必要な心構えまで深く理解させてくれることで、面接や履歴書上で高い競争率を勝ち抜くアピールポイントを身につけられる、といってもいいのではないでしょうか。
レポート Jpcanada.com取材班(saki)
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